こんなお父さんが欲しい!!――八谷和彦個展「OpenSky2.0」

saya_fujitani2007-03-10

アーティスト八谷和彦ジブリナウシカに出てくる一人乗りジェット「メーヴェ」のリアル化に取り組むプロジェクトの経緯と現状プレゼン会。
初台のICC(NTTインターコミュニケーションセンター)にて。

八谷和彦個展「OpenSky2.0」
2006年12月15日―2007年3月11日
http://www.ntticc.or.jp/Exhibition/2006/OpenSky/

八谷和彦(1966―):ポストペットの作者として知られる。人間の感覚や思いを共有できるゲームライクな体験型アートを数多く手がける。作品制作のための会社、有限会社ペットワークスを主催。ご本人のブログはこちらhttp://d.hatena.ne.jp/hachiya/

ICC階段あがって右手の約390平方メートルのAホールを使って行われたこの企画展、ICCのオリジナル展で実機の展示もあった。印象的だったのは展示場内に置かれた2台のマックディスプレイ。各10分(もっとあったかなあ)程度のキーノート(かパワーポイントか、とにかく閲覧者が左右ボタンで操作する)ファイルを表示していた。1台はなぜメーヴェを作ろうと思ったのかとこれまでの経緯を、1台はメーヴェのスペック的な解説を行うもの。メッセージは明確で「利益を出さない事業があってもいいじゃないか」「楽しい、やりたいと思うことを実現できるということを証明したい」ということ。
そこには日本の「ものづくり」への危機感や「子供へ夢を与えて、人間界のポテンシャルを引き上げることのできる社会的土壌作り」といった要素が入っている。
 展示方式としては、壁面に貼られた各種設計資料や設定資料、他のアーティストとのコラボレーション(絵画など)作品の展示、そして実機2機の展示と模型、シュミレーターの展示だ。偏光パネルを利用した映像作品もあった。
 いつもの八谷さんの作品らしく、体験型の作品を利用するにはゲームで勝たなければならない。実機にのって映像を見る体験は○kg以下という制限があったので諦め。腹ばいになって過重の前後左右をコントロールすることでシュミレーターを動かすものにチャレンジした。このシュミレーターを体験するにはメーヴェの制作に関する質問4問中3問に正解しなければならない。難易度は高め。1回目は×、2回目でやっと合格して整理券をゲットすると120番だった。この日最後の体験者らしい。今日は展示最終日だったので東京展示最後の体験者ということになった。身体全体を傾けて前後左右をコントロールするのは想像以上に腹筋を使う作業であった…足を思わずじたばたしてしまう。八谷さんがパイロットするためにカポエィラを始めたというのにも納得。
で、体験し終わって他作品を眺めていると閉館時間に。閉館アナウンスはいつもICCのおねーさんの声のはずが、八谷さんがしていた。「おうちに帰るまでが展覧会です」。スタッフへの感謝メッセージも流れ、みんなで拍手して終了。ICCの出口でにこにこしながら観客を見送る八谷さんにあほみたいに「楽しかったです!」と言って帰った。

この展示の感想は「楽しい」「夢を見られる」。

ただ、そこに存在する「はっきりいって無謀で生命をかけてるプロジェクト」「版権者であるジブリの同意は獲られていない壮大な二次創作プロジェクトであること」等々問題を、必死に対策説明してみせる展示でもあった。まだ完成したプロジェクトではないので、あたりまえだがちょっと「いや、いま、これがだめなのはこんな理由なんですよすませんね、エヘヘ」という文脈が見えすぎてしまうことに戸惑いも感じたのも事実。

んーーーー。個人的には!この壮大な「アート」プロジェクトが日本で実現する夢を見たい。ああ、こんな人がお父さんだったら楽しいだろうなあ…旦那だったら…?浮気しないんならいいかな…。*1
ジェットエンジンを乗せた本格飛行実験は4月から開始する予定だそうだ。

*1:こうゆうプロジェクトにはキレイで聡明なおねーさんが集りがちだ!

日本オタク大賞 2006―2007

ロフトプラスワンの告知看板

新宿のロフトプラスワンで2007年2月28日19時から行われた「日本オタク大賞06/07」に行ってきた。前売り売り切れだったらしいが、私がいくことを決めたのは今日の15時くらい…。それは周囲であまりチケットが出回っていたので。
大賞は「ウルトラマン 80(メビウスの)」だそうです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%9E%E3%83%B380

来場者は多分、90%男性。店の奥のほうにいくとおとこくさかったです。
トーク開始までにNewType、学研アニメディア、CONTINUE、Megamiマガジン等の媒体(の編集者による独断と偏見の)アニメや漫画など各ジャンルの2006年ランキングのビデオが流されていました。
19時から始まったのは唐沢俊一氏ともうひとかた(お名前めもっておりませんでした)による2006年のおくやみを振り返る。
 その後、CS放送MONDO21の収録としてゲスト1人1人が個人的2006年のランキングを発表していく。10分休憩をはさんでフリートーク(と台本にかいてあったらしい)にうつり、大賞を決定しました。

メモした点は以下*1
■ 「まんがを読めない漫画読者が増えている」
 コンビニにおいてあるような少年誌、青年誌では伏線があると物語が理解できない読者が増えているとのこと。漫画を画像として認識しているのではないか。一方でアフタヌーンコミックビームなどマニアックな媒体もあり、編集・作者としてもどこに照準をあてて作品を作ったらよいのか分からない

岡田斗司夫氏の「Otaku is dead」論
「旧来のオタクは、話すとお互いの共通の趣味である接点で話をしていてもその他のジャンルでさらに趣味があるということを想定していた。そこに深い知識をもっていると見ており「オタク」同士という認識をしていた。現在ではたとえば漫画という接点があったとしても、その人の持っているほかのジャンルの趣味には全く興味がなくなった。」
つまり、「興味をもったら深堀していく」というオタクの基本原理を応用できないオタクが増えているということなのでしょうか。
→なんでも検索すれば答えが出るので、「ある程度深く」でいいと思っている程度のオタクは増えている気がしますね。

■DSの爆発的なブームについて
「人間ゲーム脳になればボケないってことですかね」
「(ゲーヲタとしては)ゲーム業界についにおいていかれた」

■どらえもんの最終回同人誌問題について
「最近の同人ものは節度を知らない。ああいった作品を作るのは分かるが流通にのせてしまう行動がわからない」
松本零士やばい」
「2億円脱税はすごい。女性向けは1パック8000円等の不当な抱き合わせ販売でありえない収益をあげているらしい」

・おくやみでは、個人的にコミックマーケットにはかかわっていたということもあり、米澤嘉博氏の話が一番ぐっときました。ただ、「米澤氏が抑えていた各種問題がこれから噴出する」という認識には、いまいちぴんとこないものがあったのも事実です。高校時代、同人を始めたときにはすでに有明の整然としたコミケがありました。若い世代にそのすごさが伝わらないの感覚として分かります。なんだか企業イベントのように、勝手にずっと続くようなものと思っていたものです。
・最後のQAで「PS3は?」という話が出ましたが「終わった」という感じでしたね。XBOXには明るいコメントをするゲストもいらっしゃり、失望感がでていたという感じです。
・岡田氏って現役オタクかと思っていたんですが意外とそうじゃないん*2ですね。結構ご存知なかった話題にははっきり知らないとおっしゃるので意外でした。勝手なイメージからずれてたっていうだけなんですけどねぇ。唐沢氏は想像よりしっかりと話を筋立ててよく通る声で話されていて耳障りがとてもよかったです。
ハルヒエヴァと同じ現象ということ。丁度一回り程度世代が変わっているが一緒とのこと。物語をひっこぬいてメタ化する?みたいな話だったような…きちんとメモしてませんでした。
・「オタク」は外部の人が(中森明夫だってオタクだと思いますが)つけた名称だが「腐女子」は中から出てきた。現象としてはそうですね。でも腐女子ってノーマルカップリングを好む「婦女子」に対してやおいを好む「腐女子」として出てきたと思うのですがいかがでしょうか。1999年くらいには使ってたかな。

半分以上知らない話ではありましたが、「好きなことを好きっていいながらつきすすむ」というオタク行動を見直せました。トークのテンポもよく、なかなか笑えてよかったです。ああ、それにしてもアニメと青年・少年漫画には手を出してないのでやっぱり見たこと無い・読んだことないものだらけでした。ハチクロとか花より男子とか、少女漫画は市場の絶対数が青年・少年向けに比べ少ないのでしょうか。あとジャンプ系の漫画の話*3も出てこないのは世代の問題?プリキュアとか萌え系の話題も全く出てきませんでしたね。ゲームも少なかったし…。ちょっとサブカル世代との乖離は感じましたね。

(この記事は酔っ払いながら書いたメモをもとに作成しております。発言等は勝手にまるめて書いてある可能性があります。引用の際にはお気をつけください。)

3/1追記
MONDO21のページ
日本オタク大賞06/07

3/6追記
もっと深くまとめてらっしゃるページがいくつかあります

出演者の方々

もっとリポートされてる方、出演者の方のブログはあるのでリンクは追加予定。

*1:3/6追記 これ気になったところをメモしてただけですよー。と言っておきます。全体のリポートではないです。

*2:この点については多くの20代の友人から「そらもーそうでしょ。第一世代とうちらは違うよ」と言われました。

*3:3/5追記 「銀魂」の話は出てきましたが、岡田・唐沢氏はあまり反応ありませんでした。ちなみに書き漏らしたのは私は読んだことも見たこともないからです。あと「テニスの王子様」も同人がらみでちょこっと。「HUNTER×HUNTER」は続きいつよみたいな話で。